秘密の糸Season1㊤
「キャッ!」


「危ね!」


私は井上さんに腕を引っ張られた。


そして…そのまま井上さんの身体に寄ってしまった。


コロン


その時、傘が地面に落ちた。


ザーザーザー


気がつくと、井上さんが私の身体に腕を回していた。


(抱きしめられてる…?)


「あの…」


(井上さん?)


「わりぃ!」


井上さんは、すぐさま手を離した。


「い、いえ!」


「じゃあ俺、帰るわ!傘、ありがとな!」


「え、あ、あの、」


そして井上さんは、雨の中を走り去って帰った。


「行っちゃった…。傘、貸そうと思ったのに…。」
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