秘密の糸Season1㊤
「……」


「……」


ブランコに座った途端、二人共無言になった。



「…弟さん、いたんだ…。」



「ああ、俺が高1の時父親再婚したから。
清太は俺の義理のお母さんの連れ子。」


「そう…。」


私が知らない涼汰君が、増えていく。


「花火大会の時悪かったごめん…。
けどあの時言ったこと、全部本音だった。」 


「……」


私は、黙ってしまった。


(どうして…。何でそんな事今更言うの…?)


「…やめて。…どうして今更、そんな事言うの…?」


思っていたことを、つい口に出してしまった。


「…美菜と別れた後、
俺、本気で後悔したんだ…。
けど…忘れようと思った。
だから、今の彼女と付き合った。
でもやっぱり…出てくるのは…美菜なんだよ…。」


「…やめて。…私達にはもうお互い相手がいるんだよ…?」


「分かってる…。今更、こんな事言ったって一緒に過ごした時間が帰って来る訳じゃない…。」


そうだよ…帰って来ないんだよ…。


「…美菜と再会したあの日、時間が戻った気がした…。」


「……」


「あの日、再会出来て本当に嬉しかった。奇跡だと思った。」



「……」


私も涼汰君と再会した時、止まった時間が戻ったのかと思った。


…奇跡だと思った。


だけど…。
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