秘密の糸Season1㊤
「…ウチもさ、

最初、就職考えてなくて、

とりあえずってゆーことで、大学選んでた。

そんな時、読モにスカウトされた。

読モの仕事が増えてから、あまり大学に行けなくなって、

まあ、元々楽しくなかったんだけどさ。

髪色もこんなだし、メイクも濃いし、

ウチは好きでやってんだけど。

でも、まわりにはビビられてたみたいでさ…。

そしたらいつのまにか、皆と差が出来てしまったんだよね…。

だから大学辞めて、読モの仕事をずっとしようと思ってた。

一回教科書忘れて、

隣の人も、周りの人も、皆ウチにビビって、

誰も見してくれないとき、

斜めに座っていた円花が、教科書貸してくれたじゃん?」


「うん…。」


「自分だってないと困るかもしれないのに、

けど、そん時円花は隣の席の奴に頼んで見して貰っていた。

あんときスゲー申し訳ないなと思った。

返しに行った時も、笑顔で受け取ってくれたし。

皆がビビるこの髪色も、メイクも、ゆういつ円花だけが褒めてくれた。

本当に嬉しかった。

だからウチも、大学行こってゆう気持ちが増えた。

ウチも感謝してる、ありがとな円花。」


「盟加…。」


初めて皆の気持ちを聞いて、私は涙が出た…。
< 29 / 642 >

この作品をシェア

pagetop