秘密の糸Season1㊤
「円花!」


ゼミのドアの前で、私を叫ぶ声が聞こえた。


振り返ると、汗だくで息を切らし晋ちゃんが立っていた。


晋ちゃんは、ゼミの中に入ってきた。


周りの皆が、ザワザワし始めた。


「え、何事?」


「あれって、2年の須藤先輩だよね!」


「晋ちゃん…。こんな所まで来ないで。」


「円花、何で先に行くんだよ…」


「…皆、見てるから…。」


「俺の事、嫌いになったのか?」


「…とりあえず、他の場所で話そ?」 


私達はゼミを出て、人目のつかない非常階段に向かった。
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