秘密の糸Season1㊤
窓から吹く風は気持ち良いのに、私達のいる空気は、すごく重かった。


「…何で先に行くんだよ。」


「…ごめんなさい。」


「俺の事嫌いになったのか?」


「…違う!けど…昨日の事を思い出すと、
晋ちゃんと顔を合わせるのが気まずかった…。」


「円花、昨日は本当にごめん…。」


そう言って晋ちゃんは、頭を下げた。


「…どうしてあんな事したの…?」


「…円花が嘘をついたから。井上に触られてるし…
誰にも触られて欲しくなかったのに…。」


「…ごめんなさい。嘘をついて…。」


「何で言ってくれなかったんだよ、井上の事」


「…晋ちゃんに心配かけさしたくなくて…。」


「…何だよそれ。俺の事、信用してくれてねえの?」


「ち、違う!」


私は、首を横にふった。


「…円花にとって俺って何?ただの幼なじみか?」


「違うよ!彼氏だよ!」


「彼氏彼女なら何でも話し合うもんだろ?
後、何で俺との約束も守ってくれねえの?
俺、言ったよな?
連絡は必ずしろって」


「…ごめんなさい」


だけど私だって、休みたい時がある…。分かって欲しい…。


だんだんイライラしてしまったその時、


言いたくない言葉を私は言ってしまった。


「私だって休みたい時もあるの。
晋ちゃんこの前からおかしいよ…。
いきなりお昼これから一緒に食べようって言ってきたり、街ですれ違う男性と目が合っただけで怒ったり、それに…今までなら私の服装に指摘なんてしなかった。
カラオケに行った時だって…
私に一度も聞いてくれなかった。」


最近の晋ちゃんはおかしくて


嬉しいって思っていた今までの言葉が全部


支配されているように聞こえてた。


だけど…今の晋ちゃんには、何を話しても無駄だった。
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