秘密の糸Season1㊤
「は、はい。」


「報告として受け取っといて。」


「え?」


「俺がお前を好きだったと言う報告。」


「井上さん…。」



「今日は謝りに来たのと


俺のちゃんとした気持ちを伝えたかった。 


気まずいまま別れるのは嫌だったから… 


ちゃんと話をする為に来た。 


返事はいらないから、


三田倉が彼氏の事好きなのは知ってるし。」


そう言った井上さんは悲しい笑顔をしていた。


(井上さん…)


「…有難うございます。」


「…三田倉、俺は指導していた数ヶ月間本当に楽しかった。


初めはあいつらと同じように見てたけど、


教育してるうちに、あいつらとは全然違ったことが分かった。


ちゃんとメモは取っているし、


俺が教えてる最中も、分からなかったらちゃんと質問してくれるし


努力家で、頑張り屋で、根性がある奴だと分かった。


だからこそ、俺は先輩として三田倉に教育したい。


もっと仕事を教えたいし、一緒に働きたい。


だから…頼む!


このままウチで働いてほしい!」


井上さんの気持ちを全部聞いて、私は一気に楽になった。
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