秘密の糸Season1㊤
「えっ…」


「えっ?」


お互い、唖然としていた。


「…円花から言って。」


「井上さんとの事、黙っていて本当にごめんなさい…。
嘘ついて本当にごめんなさい…。
…晋ちゃんが私の家に来てくれたあの日、本当は私、病院にいたの。」


「…病院??」

私は、あの日の事を話した。


「…あの日私バイトに行ってて…。

その時突然、お店で井上さんが倒れたの…。

そして私、ずっと看病してたの…。

やっぱりお世話になったし、放っておけなくて…。

井上さんには帰れって言われたんだけど、熱が凄くて…。

やっぱり放っておけなくて…。

その時病室のベッドに押し倒されて…。

…突然キスされたの…。」


「………」


「…ずっと、言おうとしてた。

だけど…晋ちゃんに嫌われたくなくて…

嘘までつきました…。

本当にごめんなさい…。

晋ちゃんと喧嘩したあの後、最近井上さんが家に来て、

全部話してくれたの…。

その時、告白もされた。


キスをした理由も聞いた。


晋ちゃんと初めて会って、帰ってから私への気持ちに気づいて、

でも報われないのも分かってるから、

だから私に、嫌われようと思ってわざとした事だったの…。

それでも私は、ちゃんと言わないといけなかった…。


なのに私は、晋ちゃんに嫌われたくないと思って向き合わず逃げてた。


晋ちゃんは私の彼氏なのに、私はちゃんと晋ちゃんを信じられていなかった。

本当にごめんなさい…。」



そして私は、頭を下げた。
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