秘密の糸Season1㊤
ピッ

車のキーでドアを開け、中に入った。


初めて二人だけでこの車に乗った。


あの時、何故かウチはずっと緊張していた。


彼女でもないのに…。


そしてウチは、握りしめた飴を見つめた。


「のど飴…喉、痛いの気づいてたんだな…。」


最近喉の調子が悪かった。


こんな事に気づいてくれたなんて…。


そしてウチは、飴を口にいれた。


「…甘」


普通ののど飴な筈なのに、その時何故かすごく甘く感じた…。


その時


コンコン


窓を叩く音がした。


ウチは窓を開けた。


「はい?」


「お待たせしてすみません!良かったらこれ…。」


そう言って須藤さんが、カフェオレを渡してくれた。


(これ、ウチの好きなカフェオレ…!知ってたんだ)



「ありがとうございます!」


「いえいえ」


そして須藤さんは、運転席に座った。


「…じゃあ、行きますね。」


「はい。…カフェオレ、頂きます…。」


カン


そしてウチは、貰ったカフェオレの空き缶を開けて飲んだ。



ゴクゴクゴク



(…美味しい。)



「ウチの好きなカフェオレ、知ってるんですね。」


「盟加さんは、僕らシスガルの大切なモデルさんですからね!そのぐらい知っておかないと」


その言葉に、またドキっとしてしまった。


「飴もカフェオレもありがとうございます。」



「良いんですよ、そんなの。」


ウチと須藤さんはお互いはただの編集部とモデル 


それ以上の関係になる事なんてない…。


分かってる…。 

 
だけどウチはその時、ずっと一人でモヤモヤしていた。


そして気づいたら、口を開いていた。
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