秘密の糸Season1㊤
カチャ

私は、飲んでいたティーカップを更に置いた。


「…あのね円花。」


「うん」


「…私、今好きな人がいるの…。」


「え?」


その時円花は唖然としていた。


(そうだよね…いきなりだとびっくりするよね…)


「…どうゆう事?彼氏以外を好きになったって事?」


「…うん。」


「彼氏さんは知ってるの?」


「ううん、知らない…。…別れさせられたから…。」


「え…別れさせられた?」


「…私ね、この前お見合いさせられたんだ。」


「お見合い!?何で…?」


「…私は新川病院の跡継ぎだから、両親が決めた人と婚約しなきゃならないの…。」


「!?新川病院ってあの大手の!?」


「うん…。」


「美菜、お嬢様だったんだ…。」


「黙っててごめんね…。私、家好きじゃないから…。」


「…ううん、いいよ。」

 
「…花火大会の帰り道にね、元カレに再会したの…。」


「そうなんだ…。」



「中学の時に付き合ってて…。」


「中学の時にいたの?」


「…うん。黙っててごめんね…もう終わってたから。」


「…そっか。」


「円花最近、晋一さんの束縛に悩まされてたでしょ?」


「あ…うん…。」


「元カレも、ずっと束縛が強かったの…。
友達と話してるだけでもすごく怒ってて…。
帰りはいつも毎日帰ってた。
周りには「愛されてるね」なんて言われるけど、
帰る時、元カレは私の顔なんて見ないし
私はその度、いつも愛されてるかずっと不安だった…。」


「…そうなんだ。」


「束縛がだんだんと激しくなって、

それがどんどん重くなってしまって…。

でも、ただ不器用なだけで本当は優しいのを知ってた。

だから…大好きだった…。

でも、だんだんと仲良かった友達が皆少しずつ離れていった…。

私…友達に嫌われたくなくて…。

…だから私から別れを告げて別れたの…

結果、私は友達を選んだ…。

友達と彼氏の両立が出来なかった…。

だけど、あの花火大会の帰り道、

駅で再会して…。

一度別れたんだけど、

改札出た後、酔っ払いに絡まれて…。

そして助けてくれたの…

危ないからって言って、降りる駅まで送ってくれたの…。」

その時円花はずっと、静かに黙って聞いてくれた。
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