秘密の糸Season1㊤
私は引き続き、話をした。


「…でもその後、突然キスをされて…。」


「えっ!?」


「…私を忘れられないって告白された。
だけど元カレは、もう…私の中では【過去の人】だったの…。
元カレにも新しい彼女がいる…。
だからもうお互い【過去の人】それだけだった…。」


「美菜…」


「私は、彼氏を本当に心から愛そうと思った。
だから…。」


あんな事までした…。


記憶を掻き消すかのように…。


新堂さんと鎖を繋げた。


それなのに…。


あの日されたキスを、私は忘れられなかった…。


「でもまた、別の日偶然元カレに会ったの…
その時彼の本当の気持ちを全部聞いた。
そして、彼から本当の別れを告げられた。」


これで…もう…涼汰君とは本当に本当にさよなら…。


全て終わるんだ…。全部…。


だけど…。


「…涼汰君と別れた後、本当の自分の気持ちに気づいたの…」


ううん…違う。


別れた時もずっと、涼汰君の事が忘れられなかった…。


でも後悔しても、涼汰君は戻ってこない…。


私はただ、それに触れないようブレーキをかけてただけだった…。


新堂さんを愛するなんて、全部言い訳。


自分の本当の気持ちから、ただ逃げたかっただけなんだ…。


「…本当の気持ちって?」


「元カレをずっと、忘れられてなかった事に気づいたの…。
あの日されたキスが、ずっと私の唇に残ったままだったの…それが答えだった…。」


「…そっか。」

「自宅に帰った時にね。お見合いの話を聞いてしまって…。
私、ショックでそのまま家を飛び出したの…。
近くに河原があって、そこでしばらく一人で座ってて…。
そしたら、自転車のライトが光って
元カレが偶然そこにいたの…。」


「すごいね…。そんな何回も会うなんて…。」


私達は、どうしてこんなにも偶然会ってしまうのだろう…。

世間ではこうゆうのを【運命の出会い】と言う。


だけど…私達は違う意味での【運命】


絶対に結ばれない…その【運命】だ…。


「ずっと話を聞いてくれた。

そして、私を励ましてくれた…。

お父様に自分の意見を伝えるようアドバイスをしてくれたの…。

私、勇気を貰えたみたいで本当に嬉しかったの。

だから、頑張ってお父様に彼氏の話をした。

…だけど認めてくれなくて、

むりやり別れさせられたの…。

そしてお見合いをする事になった…。」
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