秘密の糸Season1㊤
「…ひどいね。」


「お見合い当日ね、元カレが…今の彼氏のフリをして、お父様に言ってくれたの…。』

《勝手なのはあんただろ!?
娘の気持ちも聞かずに勝手に見合いなんて決めて、
そんなに自分が大事かよ!
こいつはあんたの人形じゃねえーんだよ!》


「…そして、お見合いの場から連れ去ってくれた。」


「…優しいね。」


「私、その言葉を聞いた時、本当に嬉しかったの。
ずっとついていた、重い縛りみたいなのがスッと消えた…。
私、ずっと…ずっと…お父様が怖かった…。
小さい頃から、私はお父様の言いつけは全部守ってきた…。
だけど、それがずっと重くて
硬い鎖で縛られているみたいだった…。」


「…そうだったんだね。辛かったね、美菜…頑張ったね…。」


円花の優しい言葉に私はまた救われた…。


「…自分の気持ちに気づいた時ね、
何度も何度も忘れようとしたの…。
だけど…余計忘れられなくなった…。
ダメだと分かっているのに、
私は、自分の元カレに対する気持ちを抑えられなくなった…。関係を持ってしまったの…。」


涙がポロポロ溢れ落ちた…。


何て、馬鹿な事をしたんだろう…。


あの時、私はもう自分が抑えられなかった…。


差し伸べられた【あの手】に甘えてしまった…。


「美菜…。」


「私、最低だよね…。もう元カレには彼女がいるのに…。
自分の気持ちを押し付けた…。
円花、私…どうしたら良い…?」
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