秘密の糸Season1㊤
『…え?』


『僕、今京都にいるんだ転勤で…。』


ウソ…京都…!


『黙っていて本当にごめん…。
決まったのはあの電話の後で…。
何度も話そうと思ったんだ…。
だけど…連絡出来なかった…。
何か理由があるのは分かっていたのに、本当にごめん…。
美菜がそんなに苦しんでいたのに僕は…。』


『違うんです!全部…私が悪いんです…!
今更で本当にごめんなさい…!
最後まで話、聞いてくれてありがとうございます…。』


『今までありがとう。最後にこうして話せて嬉しかった。』


『私も…。ありがとうございました…。
最後に、話せて嬉しかったです。』


『……』


『……』


しばらく無言になった。


『美菜』


『…はい』


『…お互い違う所で、幸せになろう。』


『…はい…』


『さようなら…美菜。』


『さようなら…雅昭さん。』


そして私達は、同時に電話を切った。
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