秘密の糸Season1㊤
【涼汰side】

舞由香の家に来たのは何年ぶりだろ…。


もう長く来ていなかった気がする。


だけど部屋は、あの頃と変わっていない。



「…変わってないんだな部屋」


思わず俺は声に出した。


「…うん。はいコーヒー。…涼汰このコーヒー好きでしょ?」


舞由香はそう言って、机にコーヒーを置いてくれた。


(…まだ覚えてたのか。そんな事。)


コーヒーの香りと、この部屋が初めて俺達が朝を迎えた日を思い出す。


俺はこの部屋で舞由香を抱いた。


「…ありがとう。」


俺は貰ったコーヒーを一口飲んだ。


「…話って何?」


俺は舞由香に聞いた。


その時


「…ごめんなさい!」


舞由香が口を開いた。


「え?」


俺は唖然とした。


「…あたし、浮気したの。」


「…浮気?」


俺は思わずビックリした。


「…その人とは、花火大会の帰り道に出会って、

道に迷ってたから、あたしが声を掛けて教えたの…。

その時、元カレに絡まれて…。

それで助けて貰った。

帰りに名刺を貰って…。

試しにツイッターで名前検索したら、

偶然その人のアカウント見つけて…。

そこから少しずつ連絡を取ってた…。

外でも一度だけ会ってた…。

だけど連絡を取るうちにあたしは、

その人が気になって、

…好きになって、

そんな時、京都に行くってツイッターのDMで教えて貰った。

その時あたしはもう、気持ちが抑えられなくなった…。

…だけどその人には彼女がいるの…。

だからこそ告白だけして

もう、忘れようと思ったの…!

告白すれば、気持ちが消えると思った…。

でもその人は、あたしの告白を受け入れてくれて…。

ダメだと分かっていたのに、

あたしは一度、関係を持ってしまった…。

涼汰にずっと黙ってた…。

…本当にごめんなさい!!」







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