秘密の糸Season1㊤
美菜が入って来た。

そして美菜は、俺に気づいた。

「あ、レモンティーでお願いします…。」

「かしこまりました」

「…久しぶりだね。」

「そうだな」

「…話って?」 

「…ああ」

美菜は勘付いたのか、悲しい顔をしていた。

でも、俺は決めたんだ。

「美菜、ごめん…。やっぱり俺、お前の側にはいられない…。本当にごめん…。」

俺は、勝手な事ばかり言っていた。

本当最低だ…。

「美菜とあの時抱き合えて…本当に嬉しかったんだ…
だけどその後彼女から電話が来て、
俺後からすごく罪悪感を感じた…。
何やってるんだろうって…」

「涼汰君…」

「美菜との事、彼女に話した。
そしたら彼女も浮気してて…。
だけどそれは俺が、彼女にずっと寂しい思いをさせていた事が分かって…
浮気に走らさせたのは、俺が原因だったんだ。
そこで気づいたんだ。
彼女の事、全然考えてなかったことに…。」

美菜は黙って俺の話を聞いてくれた。

「だから決めた。
これからは彼女の側にいるって
勝手な事ばっかり言ってごめん…」

「…ううん。涼汰君、私もね…涼汰君と抱き合えて幸せだった。
涼汰君があの日電話しに外に出た時、本当は私、起きてたの…。
でも、そこで気づいた。
涼汰君はもう、私の物じゃない。
身体が繋がったって、今の私達はセフレぐらいの関係にしかなれない。
これが本当に幸せなのか、私が求めていた事なのか一晩考えた。
でもその後、私は罪悪感ばかり感じた。
そこで分かった。
誰かの物を奪ってまでの幸せなんてそんなの本当の幸せじゃないって」

「美菜…」
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