秘密の糸Season1㊤
♪♪♪


突然スマホが鳴った。


「あ、ごめん会社からだ…。はい、お疲れ様です。はい、はい、
…あ、その件でしたら明日には取引先から答えが出るかと…はい、はい、分かりました。」


そしてしばらくしてから、電話を切った。


ピッ


「ふー…。あ、ごめんね、急に。」


「いえいえ。」


「あ、マズイ…。そろそろ行かないと…。」


(え、もう会えないの??)


「あ、あの!」


あたしは思わず彼を引き留めてしまった。



「ん?」


その時、彼はキョトンとしていた。



「な、名前教えて下さい!」


「あ、そうだよね、ここで会えたのも何かの縁だろうし…。
挨拶が遅れてすみません。
改めまして、新堂雅昭《しんどうまさあき》です。
初めまして。」


そう言って、名刺をくれた。


「あ、ありがとうございます…。」


「君は?」


「あ、あのあたし大学生で、村田舞由香と良います!」

「村田さんかー。
今日は助けてくれてありがとう。
またどこかで会ったらよろしくね。」


「こちらこそありがとうございました!は、はい!」


「じゃあね。」


そしてその男性は、車で帰って行った。
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