秘密の糸Season1㊤
遠くから声がした。

東藤さんはびっくりして、走って逃げてしまった。

「あ、ま、待って!」

追いかけようとしたその時にはもう、

東藤さんの姿はなかった。

「大丈夫か!…っ!美菜!」

「涼汰君…」

ポタ…

安心したのか、私の目から涙が落ちてきた。

涼汰君は全身汗だくで、息を切らしていた。

「お前…それ…ちょっと待て」

そう言って涼汰君は着ていたアウターを脱ぎ、そっと私に掛けてくれた。

「どうして…?」

私達は終わった筈なのに…

「あんな電話来たら焦るだろ!」

「電話…?」

「…お前、俺に掛けてきただろ?」

私が…?涼汰君に…?

私は確認する為、バッグからスマホを取り出した。
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