秘密の糸Season1㊤
【円花side】

『…も、もしもし!』



あたしは急いで電話に出た。


まさか、秀兄ちゃんから電話が来るなんて思わなかった。 

少し声が震えながらもあたしは電話に出た。


『円花…。あの日はごめん…。』


電話越しの秀兄ちゃんの声は、少し低めだった。


…あの事があったからか…元気がない。


『…ううん。』


『…ちゃんと会って、謝りたいんだ。
…一度会って、ちゃんと話したい…。』

…正直まだ…会うのは…怖い。


でも怖いのは秀兄ちゃんも同じ。


それでも私にこうやって、電話を掛けてきてくれたんだ。

『……』

『…もうこれで…最後にするから…。』


《最後》そう告げられた瞬間、分かった。


あたし達はもう二度と会うことはないと。


…終わらせる為に、会うと言う事を。


『…分かった。』


『…ありがとう。…明日空いてる?』


『うん、空いてるよ。』


『…何時ならいける?』


『14時だったら…。』


『分かった、じゃあ14時にあのショッピングモールで待ち合わせしよう。』


『うん』


『じゃあ明日な。』


『うん…またね。』


ツーツー


そして電話が切れた。



これが、私達が最後に出された決断と。


『私もちゃんと向き合わないと…。』


そう私は、決心した。




















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