秘密の糸Season1㊤
【秀一side】

「…最初はびっくりしたよ。
あの日言った言葉と同じ通り、
私はずっと昔から秀兄ちゃんの事、本当のお兄ちゃんみたいに思ってた。
…でも、秀兄ちゃんは違った。
私を一人の女の子として見てくれていた。
あの時、キスされて正直びっくりしたけど
秀兄ちゃんの気持ちがちゃんと聞けて嬉しかったよ。」

「円花…。」

「秀兄ちゃんはちゃんと私と向き合おうとしてくれたんだね…。」

「え?」

「今日だってその為に誘ってくれたんでしょ?」

「円花…。」

「だから私もちゃんと今のこの問題に向き合おうと思った。
だって私達、昔から三人で一緒にいたのにこのままなんて嫌だもん…!」

「円花…」

円花は偉いと思った。


俺より全然強かった。


たくましいと思った。


「ごめんね…。でも、私秀兄ちゃんの気持ちには応えられない。
やっぱり私は晋ちゃんが好きなの。
本当、ごめんなさい…」


「うん…分かった、ありがとう円花。俺の気持ちちゃんと聞いてくれて。」

円花は俺に教えてくれた。

最後まで俺の話を聞いてくれた。

円花を好きになって良かったな…。

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