ハッピーエンドはお呼びじゃない
序章―宴の騒動とその前日―
悪夢の年始
大広間が静まり返る。
さっきまでのどんちゃん騒ぎが嘘みたいだ。
箸と器が触れる、カチャカチャという音も、
中年たちのペチャクチャうるさい世間話も、
躾のなってない子供たちが走り回る音さえも、聞こえない。
「……皆、どしたん?」
この状況を作る原因になった男は、間の抜けた声を出す。
いや、「どしたん?」じゃない。
貴方のさっきの発言のせいだろう、誰がどう診てもそうだろう!
「……朔様、ご冗談ですよね?」
家政婦の一人が男に問い掛ける。
「はあ? 何言うとんねん? 冗談なわけないやん。
な、つっちゃん!」
男は――――朔様は、少々機嫌を損ねたようで、拗ねたような顔で家政婦を見た。
いやいや、そこは空気を読んで「バレた?」とか言うべきだろう。
否定するな。
そして私を巻き込むな、頼むから。土下座でもなんでもするから。
「俺はつっちゃんと結婚する!」
「……私を巻き込まないでください、本当に。お願いします」
私はそれはそれは綺麗な土下座をした。
さっきまでのどんちゃん騒ぎが嘘みたいだ。
箸と器が触れる、カチャカチャという音も、
中年たちのペチャクチャうるさい世間話も、
躾のなってない子供たちが走り回る音さえも、聞こえない。
「……皆、どしたん?」
この状況を作る原因になった男は、間の抜けた声を出す。
いや、「どしたん?」じゃない。
貴方のさっきの発言のせいだろう、誰がどう診てもそうだろう!
「……朔様、ご冗談ですよね?」
家政婦の一人が男に問い掛ける。
「はあ? 何言うとんねん? 冗談なわけないやん。
な、つっちゃん!」
男は――――朔様は、少々機嫌を損ねたようで、拗ねたような顔で家政婦を見た。
いやいや、そこは空気を読んで「バレた?」とか言うべきだろう。
否定するな。
そして私を巻き込むな、頼むから。土下座でもなんでもするから。
「俺はつっちゃんと結婚する!」
「……私を巻き込まないでください、本当に。お願いします」
私はそれはそれは綺麗な土下座をした。