午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
そして娘であるシリアも、親には逆らえない。

この家で生まれ、いつのまにか感情を殺す方法を身につけた。

親のかんしゃくや貴族の僻みから、幼い心を守るために。

そこまでして自分に生きる必要があるのか、わからなかったが。

そうして生まれた、ノースヴァン家の人形姫。

シリアは無表情のまま、ユースリアの泣き声を、記憶の中から消し去った。



その、一月後。

とうとう城に向かう日が来た。

ユースリアは恐ろしい形相で、シリアに叫んでいた。
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