午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
ある男の不運な出来事
三日月が美しく輝く深夜。
心は今日も下働きの仕事を手伝っていた。
妃月に一人で城の中を歩くことを許してもらったため、アルジェンが近くにいた以前より随分働きやすい。
やはりいつも見られながら仕事をするのはストレスが溜まると、心は苦く笑う。
黙っていれば、なぜか人間だとばれることもなかった。
「ココロ様、陛下のお部屋に飾る花を庭園から切ってきてください。ハサミは庭師が持っているはずですので」
女官長であるルヴェータの言葉に頷き、心はすぐに外へと向かった。
城の中はまだ慣れないため、すれ違う人に道を確認しつつ歩く。