午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
「面白いことを教えてやろう。……お前はこの城で、生涯の主人を見つけるはずだ。
そしてその者のために、お前は笑うようになる」

クスリと微笑し、妃月はとうとう立ち去った。

「……生涯の、主人?」

シリアの心に、小さな波紋を残して。






「お待たせー! ……シリア? ボーッとするなんて珍しいね?
どうしたの?」

ハッと目を開くと、心がシリアを覗き込んでいた。

初めて城に来てから、何度月が昇っただろうか。。

正妃どころか側室すら作らないだろうと思われていた魔王陛下が、連れて戻った少女。

彼女が来たばかりの時、妃月に告げられた言葉を、シリアは今もはっきりと覚えている。
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