午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
ガラス張りの天井から差し込む月明かり。

波紋が広がる水の床。

壁を覆い尽くすかのような緑。

まるでここだけ城から切り離されてしまったかのような、美しくも異様な光景が佇んでいた。

ジュリアはゆっくり後退り、数歩下がったところで座り込んでしまう。

全身が冷え切っており、額には汗が滲んでいる。

「何なの、ここは……」

好奇心で近寄りすぎたらしい。

室内に溢れている絶大な魔力に当てられ、ジュリアは眉をひそめた。

開け放された扉から漏れ出す微かな魔力ですら、彼女を苛む。

避けようにも指先一つ動かせず、ジュリアが恐怖に喘いだその時。

「おい、大丈夫か!」

低い声が聞こえたかと思うと、ジュリアの身体が勢いよく投げられる。
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