午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
通り過ぎる使用人たちが、気遣わしげに視線を向けるものの、常とは違う様子のクロスリードをカザリナに任せて立ち去ってゆく。
普段はなにかと賑やかなアクセス家の屋敷には、静かな空間が広がっていた。
仕事で父親と兄が出かけ、母親は友人の茶会に招かれている。
今日は遠駆けにでも行こうかと考えていたカザリナは、屋敷を出る前でよかったと息をついた。
こんな状態のクロスリードを、信用できる使用人たちにも任せたくはなかった。
限られた人物しか知らないことだが、クロスリードは魔王である妃月に拾われた堕天である。
妃月の息子同然に育てられ、現在は彼を支える優秀な文官だ。
そしてその才を認めたのは、妃月の生家でもある名門貴族ルカレイン家。
普段はなにかと賑やかなアクセス家の屋敷には、静かな空間が広がっていた。
仕事で父親と兄が出かけ、母親は友人の茶会に招かれている。
今日は遠駆けにでも行こうかと考えていたカザリナは、屋敷を出る前でよかったと息をついた。
こんな状態のクロスリードを、信用できる使用人たちにも任せたくはなかった。
限られた人物しか知らないことだが、クロスリードは魔王である妃月に拾われた堕天である。
妃月の息子同然に育てられ、現在は彼を支える優秀な文官だ。
そしてその才を認めたのは、妃月の生家でもある名門貴族ルカレイン家。