午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
怒りに我を忘れるのは、その時でいい。

今はクロスリードのことが先だと、カザリナはそっと彼の背を擦る。

胸の内に燻っていたものを、言葉にしてようやく落ち着いたのか、クロスリードはようやく顔を上げた。

青ざめた顔のまま、真っ直ぐカザリナを見据えて、言う。

「頼みがあります。……初代魔王の魂を受け継ぐあの女を殺すために、あなたの手をお借りしたいのです」

――まずは、メイジーに報告させて……いいえ、でも女の存在がこんなにもクロスリード様を苦しめているなら、真実がどうであれ、生かす必要なんてないわね。

カザリナに、断る理由はなくなった。







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