午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
「陛下にはおそらくすべて知られています。……お咎めを受けるかもしれませんよ」
アクセス家の屋敷に姿を現したクロスリードは、今日もげっそりとやつれていた。
カザリナに協力を乞うた日から、月は数回昇り、沈んでいる。
カザリナに話を持ちかけてしまったことを後悔しているのか、クロスリードは問い掛けるようにそう言ったが、カザリナの気持ちは変わらなかった。
王城で働くメイジーに報告させ、彼女自身もようやく人間の少女を知ったところだ。
メイジーの報告によると、人間の少女は己の立場を理解することもなく、好き勝手に動いているらしい。
魔王陛下がそれを許しているなら、カザリナたち魔族は何も言えない。
だが少女の勝手な振る舞いによって、クロスリードの時間は間違いなく削られていた。