午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
少女が厨房を手伝えば、クロスリードは少女の存在に不満をもつ魔族を監視しなければならず、アルジェンの手が塞がっている時は他の護衛を手配しなければならない。

普段から忙しそうにしていたというのに、今はもう細やかな休憩時間すら取れていないようであった。

「クロスリード様はお仕事が大変だというのに、人間の教育までなさっているとうかがいました。……御体は大丈夫ですの?」

気遣うカザリナに、クロスリードはかすかな笑みを浮かべる。

いつの間にか見事な女性へと成長したかつての少女は、相変わらずクロスリードのことを心配するばかりだ。

「あなたこそ、今度の夜会の準備は大丈夫ですか」

からかう声音に、カザリナの頬が一気に染まる。
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