午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
だからこそ、今回の失敗でクロスリードが排斥されるような事態を招くことだけは避けなければならなかった。

計画を遂行するために、王の寝室周辺の警備を最も手薄にしたのは――クロスリード。

彼は城の者たちから全幅の信頼を得ているため、無意識に城の者たちはクロスリードの行為を見逃してしまう。

だが魔王は、まず情に左右されることがない。

王の目で状況を見れば、クロスリードとカザリナが繋がっていることは明白だった。

現状がどう転ぶのか――……。

そんな戦々恐々とした日々は、不安の核であったクロスリードの訪問によって終わりを迎える。



「陛下は私の振る舞いを見逃すようです」

椅子に腰を下ろして、クロスリードが真っ先にそう言った。
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