午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
震える体を叱咤して、その場に膝をつき、地面に額を擦りつける。

謝ろうとしたが、恐怖のあまり声が出ない。

ガタガタと体を震わせ、男はただ固まっていた。




やがて、心がそっと妃月を見上げる。

「あの、妃月さま。私は大丈夫ですから、許してあげてください……」

自業自得ではあるが、男が可哀相に思えてきのだ。

まさか魔王陛下が出てくるとは思いもしなかっただろう。

妃月は心の言葉に小さく溜息をつく。

「……お前がそう言うなら、今回は見逃そう。次にやった時はその首を飛ばす。
わかったら失せろ」
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