傷だらけのココロに、癒しの愛を。〔仮〕
「へ~名前刺繍してるの?」
「うん、さっき決めたんだけど、
みんなのイメージカラーで
名前を入れようって」
「おお、すごいなこれ」
ふいに手元を覗かれて、顔が近づく。
汗臭い男の子の匂いじゃなくて、
いい匂いがする。
なんだろ、ラベンダーかな…って
あたし変態っぽい。
「俺のは誰がやるか
決まってるの?」
「まだ男の子の分の分担は決まってないよ」
今日分担を決めたのは
とりあえず女の子の分だけだった。
「じゃあ日野さん、俺のやつやってよ」
「えっ?」
「そしたらなんか頑張れる気がするからさ」
なんてことを
とびっきりの笑顔で言うから、
あたしの顔は赤く染まってしまった。
そんなあたしを見て、
隼人は微笑んで「楽しみにしてる」
なんてセリフ付きで、
パネルの作業に戻っていった。