新撰組と復讐心
新選組の隊士になるには、どうやら幹部と対戦しなければいけないらしい。



特に最近は目立つ事件が多発しているわけでもないのに、募集しているのは不可解だったが私とっては好都合だ。



「名を言え」



無愛想な男が訪ねてきた。
これで、新撰組三番組組長というのだから驚きだ。



「蘭。道後蘭だ」



帳簿のようなものに、名を記入されると、刀を持っていることを確認された。



そう、ここに持ってくるものは自分の身体と刀のみ。


真剣ならば容赦はしない。


相手が誰であろうと、新撰組に関係する者は斬ってやる。



「次!道後蘭」


呼ばれた先には、黄金色で短髪の男があっていた。


年は割と私に近い、幼子のような顔立ちだった。


「お前が次の相手?細くて弱そうだな。それに、女みたいだ」


何も言わず構え、始め、という合図を待った。


「ちょっと待てよ、最初はお互い名乗ろうぜ。俺は八番組組長、藤堂平助」


「道後、蘭」


互いの名乗りを聞いてから、審判が合図した。


「冥鬼、お前は手を出すな。こいつは今、私が殺る」


踏み出す一歩と同時に突きをし、さらに返して剣先を藤堂に向ける。


体勢を崩した藤堂は尻もちをついた。


喉を掻っ切ってやる!

「そこまで!」


冥鬼とは違う、深く響く声が私の動きを止め、藤堂の喉をめがけた刀は、仲間と思われる二人組に阻止された。


一人は藤堂に向けた剣先を止め、もう一人は私の首元に剣を向けた。



ちょっと卑怯なんじゃない?



「土方さん。こいつなんだ?思いっきり、殺気を向けて平助に向かってたぞ」


雀色の髪を後ろでひとつ縛りにしている男が私に剣を向けながら言った。
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