眠り姫の憂鬱。


それから私は爆睡をかまして、起きたときには4限目の授業が終わったチャイムが鳴り響いていた。

ここまでサボるのは滅多にないことで、ちょっと寝すぎたかもしれない。


「あ、起きた」


目覚めた時に最初に目に映るのはもちろん結城先生。

他に生徒はいないみたいだ。


「お目覚めの気分はいかがですか、お嬢様」

「うむ。苦しゅうない」

「プッ。お嬢様っつってんのになんで答え方が姫君なんだよ!」

「…頭が回ってなかったんですぅ!」


軽くバカにしてくる先生に小さな声で反発する。

先生は大人だからそんなのはひらりと交わされてしまうのだけど。


「今昼休みだけど、教室戻るか?」

「ん~。午後は授業出ないと流石になぁ」

「あ、そ。俺、教頭からお呼び出しくらったからここ空けるから」

「わかった。何かやらかしたの~?」

「バァーカ!違えよ」


そう言うと手をひらひらと振って先生は保健室から出ていった。



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