眠り姫の憂鬱。
第3章
◇客観的印象◇
私は保健室で溜め息を吐いた。
「なんか面白いことないかなあ〜」
頬ずえをついて、窓からグラウンドを覗いた。
ちょうど1年生が体育でサッカーをしている。
「何言ってんだよ、葉月。もうすぐ文化祭だからそろそろ準備始まる時期だろ」
「え?」
嘘、もうそんな時期?
「良かったな。これから慌ただしくなるだろうな」
「それはそれで困る」
「我儘だな」
だって私はあんまり遅くまで学校に残ったり、買出しに走って行ったりできないからクラスの重りでしかなくて、申し訳なさと疎外感を覚えた去年がトラウマのようになっている。
去年の文化祭はとてもじゃないけど、いい思い出とは言えなかった。
『ちゃんと真面目にやってよ』
元クラスメイトの声が脳裏に再生された。
笑って謝って誤魔化したけれど、私は真面目にやっていたつもりだった。
今年だってきっと同じようにクラスメイトからは良く思われないだろう。
だいたい、保健室にいつもいてクラスに馴染んでいない私は、学校行事っていうもんに対して全て楽しみっていう感情は皆無に近似している。