眠り姫の憂鬱。


今年も真依と同じクラスなのが唯一の救いだ。

真依がいなかったら私は完全にクラスから除け者にされていただろう。




「あ、そうだ雅。今日のLT(ロングタイム)で文化祭のこと決めるから教室に来なさいよ」

「あー、クラスで何やるか決めるの?」


私はお母さんお手製のハンバーグを飲み込んで、真依を見つめた。

一方真依はクリームパンを頬張って、首を横に振った。


「違う。実はうちのクラスは劇って決まっててね、今日は何の劇をやるかと配役決め」

「え?劇なの?」


出し物の中でも格別得意じゃないなあ。


「私は劇に出ない役回りにしよっと」

「出ればいいのに」

「ううん。役もらってもどうせ練習出来ないだろうし」


私はクラスのみんなに迷惑をかけなければそれでいいや。

とにかく裏方の仕事をもらおう。



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