眠り姫の憂鬱。
教室に行くのは数日ぶりだから、より一層緊張感を掻き立てる。
気は進まないけれど、行かなければ真依に迷惑をかけてしまうかもしれない。
「おーい、これLT始まる鐘だぞ。教室行かなくていいのかよ」
「今から行くの」
結城先生の言葉で、やっと重い足を動かし保健室をあとにした。
階段を一段一段上る足は鉛のようで、だんだんと上るペースが落ちていくのがわかる。
近くの教室からは楽しそうな笑い声が聞こえてきて、こんなに文化祭を嫌っているのは学校中で私だけなんじゃないかとさえ思う。
何とか教室に着いて扉を開けるとクラス中の視線が一斉にこちらに向けられた。
予想はしていたけれど、それでもたくさんの人から見られるのは苦手で、どれだけ明るく性格を偽ってもそれだけは変えられなくて、ぎこちない笑顔を浮かべ、なんとかやり過ごす。