眠り姫の憂鬱。


顔も引きつってしまっているように思えた。


「大丈夫だって!いっつもやってることをやるだけじゃん!」

「そうそう、寝てるだけ!」

「いつもクラスにいないし、こういう時ぐらい目立つ役やりなよ!」


どうしよう…。

私を主役にすることにどんな趣旨があるのか、クラスの子たちの真意が見えない。


「私、人前苦手だから」

「えー、そんな風には見えないけど。むしろ"眠り姫"ってこういう役、好きでしょ?」

「雅が嫌なら無理にやらせることないよ」

「でも、真依!」


真依が庇ってくれたけど、それでも彼女たちは収まってくれず、むしろヒートアップしていく。

自分の不甲斐なさを痛感して、そっと俯いた。

私がみんなと同じような身体を持っていたら、もう少し度胸があれば、真依を巻き込んでしまうことはなかったかもしれない。


どうしようもなく、悔しくて苦しい。


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