眠り姫の憂鬱。



私はもう少し、クラスに馴染む必要がある。

それもわかっている。


今回の文化祭はチャンスだ。

できることはしっかりやらないと。


「…雅?」

「せっかく役目をもらえたんだもん!できることはやるよ!」

「まあ、雅がやる気になってくれてるのは嬉しいけどさ」


廊下に目線を移すと楓が歩いていくのが見えたので衝動的に立ち上がる。


「えっ、なに?」

「真依、楓のとこ行ってくるね」


そう言い終わるか終わらないかには、競歩の選手顔負けのスピードで早歩きして楓を追っていた。


それでもやっと追いついたのは、曲がり角を曲がって、音楽室に続く階段に差しかかったところだった。


「待ってよ、楓!!」


ゆっくりと振り返った楓は気だるげな瞳で私を捉える。


けれど、嫌そうには見えないのは私の思い違いだろうか。



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