眠り姫の憂鬱。


「楓って押しに弱いでしょ?」

「は?」

「だって私の2回目の告白の時、すごく動揺してたし」

「それはお前が人が多いところで言うから」

「テスト週間に遊びたいって言ったら家に連れてってくれたし」

「それは勉強する体だっただろ」


とは言っても、楓は甘い。

こんなの勘違いしちゃってもおかしくないし、そういう子も少なくないんじゃないかな。


「ふふ、このままいくと私と付き合うんじゃない?」

「……、」


例えば、私みたいにさ!


気分が良くなった私が鼻歌を歌えば、楓は眉間に皺を寄せる。


「てかお前、なんかあったろ」

「へ?なんで?」

「なんでって、いつもに増してうるさいから」

「ひ、酷いっ!」


私は、背景にガーンという効果音が書かれるぐらいのオーバーリアクションを取った。



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