眠り姫の憂鬱。


「俺、真面目に言ってるんだけど」


真面目にうるさいって言われる私ってどうなんだ?

普段からうるさいのは自覚していたけれど、もしかして自分が思っている以上に騒がしかったのか?


「空元気っぽい感じがする」


少なからずショックを受けたものの本気で心配してくれているみたいだから、それが思うだけでで全て帳消しされる。


「…あのね、」

気付けば実はね、ってさっきクラスで起こった出来事を話していた。

クラスの子によく思われていないことは分かってたはずなのにな…。


"眠り姫"というあだ名は皮肉を込めて作られたもの。

その名を面と向かって言われたのは初めてだった。


一連の流れを全部包み隠さず話すと、楓は難しい顔をしてふーん、と呟いた。


「まあ、よかったな。そいつに助けてもらえて」


そいつというのは吉川くんのことで、楓のその笑顔になんだか嫌な予感がした。


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