眠り姫の憂鬱。
けれど、私に面と向かって"眠り姫"と呼ぶのは悪口を直接言っているようなものでそんなことをする人はさすがにいなかった。
眠り姫っていうのは皮肉を込められた呼び名だから。
私はあれからずっと考えていた。
あの子たちはどういうつもりで私のことを眠り姫と呼んだのか。
もしかしたら意味なんて考えずに、裏で呼ばれている名じゃなくて普段から私がそう呼ばれていると勘違いして言ったのかもしれない。
わからない。あの子たちの心理はいくら考えたってわかりっこなかった。
「先生に聞いたんだけど、葉月さんって買い出しには行けないんだって?」
「うん、そうなの。ごめんね…、」
「じゃあ、背景のパネルの色塗りやってもらおうかな。ここが空でこっちが…、」
何かあったら言えと真依に念押しされたけど、今のところ特に怪しい点はないし、考えすぎだったのかもしれない。