眠り姫の憂鬱。


「あったよ」


吉川くんの右手には茶封筒が握られていた。


「わ!よかった!」


これでもうゴミを漁らなくても済む。

実はこの後、校舎裏に集められたゴミ袋を漁りに行こうかと思っていたところだった。


「喜んでるところ悪いけど、これどこにあったと思う?」


にこりと微笑んでいる吉川くんの目は笑っていなかった。

しかし私には全く心当たりがなく、わかるはずもなかったので首を横に振る。


「葉月のロッカーだよ」


また喉がぎゅっと苦しくなった。


なんとなく察しはついていたけれど、信じたくない自分がいた。現実から目を背けていた。


「そっか、」


あまりにも弱々しい声に我ながら笑ってしまいそうになった。

これでクラスから私への信用度はゼロだ。


俯いた私の頭に吉川くんが問いかける。


「これ、誰が入れたかわかる?多方あの予算委員とその取り巻きの仕業だろうけど」

「え、」


私は弾かれたかのように顔を上げた。

驚いている私に驚いている吉川くんと目が合う。

なんで…。


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