眠り姫の憂鬱。
その後、ふたりで別のクラスの予算委員の子に"無防備にお金が置いてあったから預かっていた"ということして欲しいと頼み、アリバイ工作をしてから教室に戻った。
その予算委員の子が快く了承してくれたのでとても助かった。
「見つけたよ」
そう言って吉川くんが教室に入れば、クラスの男子らが見つけてきた吉川くんを茶化し半分、褒め称えた。
予算委員の子を初めとする一部の女子は動揺を隠せていないようだ。
私はそれに気づかないふりをして、笑顔で真依のもとにいく。
「見つかって本当によかったね。私も探してたんだけど、ごめん」
「なんで真依が謝るの!」
真依に非は1ミリもないのに、申し訳なさそうにする真依に困ってしまう。
気にすることないのに。
自分の手を見てみると、さっき手を洗ったから手のひらの汚れは落ちているけれど爪の間には泥が残っていて、それがなぜか酷く滑稽だった。
帰ったら爪を切ろう。