眠り姫の憂鬱。


「…ご、ごめんね」

「あ、うん。いいよ」


しかし、吉川くんってすごいんだなって実感する。

謝ってくれた予算委員の子は、吉川くんの死角でしっかりと私を睨みつけていた。

私は視界の端にそれが映ったので、彼女の方へゆっくりと顔を向けると必然的に目が合い、その子の表情はコロリと笑顔に変わる。

女って怖いなあと思いながら笑みを返し、吉川くんの影響力と信頼度を強く感じた。

私と正反対だ。

きっと人望が厚いんだろう。


「あ、あとさ、お金の管理大変だと思うけどもう無くさないようにね」

「うん!」


吉川くんのアイドルスマイルに嬉々として応えるその子はもうさっきまでの黒いオーラは纏っていなくて、むしろピンク色の女の子のオーラに包まれている。


私は今後同じようなことが起こらないことを祈りながら苦笑いを零した。


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