眠り姫の憂鬱。


「また吉川の手柄っていうのが気に食わないなあ」

「真依ってば吉川くんのこと目の敵にしすぎ!吉川くんが助けてくれたのは事実なんだから~」


私が言ったそれに渋々頷きながら真依が言う。


「そうなんだよね。ミヤが出てった後に一番最初に動いたの吉川だったし」

「そうなの?」


私のロッカーにあったのを見つけたようだし、吉川くんは勘が鋭い方なのかもしれない。

そうでなかったら、私のロッカーをわざわざ探したりしないだろう。


「吉川くんってほんとすごいね」

「なに?吉川に惚れた?」


真依がニヤリと悪い笑みを浮かべながら肘でつついてきたけど、それだけはないので首を横に振った。


「違うよ。私が好きなのは楓だもん!」

「ハイハイ、そーですか」


私の楓に対する気持ちが変わらないので、反対していた真依も最近では諦めモードだ。

聞き飽きたと言いたげに手で払う仕草をする。


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