眠り姫の憂鬱。
「あの、あの!」
彼女らの肩がびくりと上がる。
「私、一生懸命頑張るので…、役に立たないかもしれないし使えないかもしれないけど精一杯やるから、私も一緒に劇を作らせてもらえないかな」
私は思いっきり腰を曲げて頭を下げた。
作業がしやすいようにと頭の高い位置でひとつに束ねた髪が遠心力で勢いよく頭のてっぺんを叩く。
「お願いしますっ」
「……はあ?」
下げた頭に降ってきたのは予算委員の子、もといその隣にいた坂井(さかい)さんのものだ。
彼女はうちのクラスの指揮者のような人物。つまりは、この劇の仕切り役だった。
「でかい口叩くのは行動で示してからにしてくんない?」
胸に鋭く突き刺さった。
「今までまともに関わりあってないアンタが信用されないのはそういうところでしょ」
それは彼女から放たれたものが心無いものだったからじゃない。図星だったからだ。
「私は休んでていなかったから詳しいことは知らないし、証拠もないくせに疑う方もどうかと思うけど、」
予算委員の子は坂井さんの隣で肩をビクつかせ、様子を伺うように坂井さんを見る。
坂井さんはそんな彼女に視線を向けることはなく、一度たりとも私の視線を逸らさなかった。