眠り姫の憂鬱。
坂井さんたちが教室を出ていく。
私はただじっと自分の足元を見ていた。
「雅…?」
私の様子を伺うように真依が私の名前を呼び、それから気にしなくていいからねと言った。
きっと私が傷ついていると思ったのだろう。
でもそれは見当違いだ。
「真依、迷惑かけてごめんね。あと心配もかけた」
「えっ、」
「でも大丈夫。私頑張ってみようと思う」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした真依にニコリと笑いかけて、ひとり教室を出る。
一度きりしかない人生、もう少しやりたい放題しても許されるんじゃないかと思った。
今でも十分やりたい放題やってるじゃないかと言われてしまうかもしれないが、私はやりたいことのほんの数パーセントしか実現できていない。
現に学校行事に参加することにも制限がある。
だからそれらを全部とっぱらってしまおうと思った。