眠り姫の憂鬱。
その日の私は休む暇もなく働いた。
あとから聞いた話だが、いつもどこか適当に抜け出して休憩していた私が動き回っているのを見たクラスメイトは不思議がったり不気味に思ったりしたらしい。
そして迎えた文化祭当日。
私たちのクラスの劇は午前中にあった。
楓にぜひ見に来てとメッセージを送ると何役なのかと聞かれたので、劇には出ないへことを伝えるとつまらないと返ってきた。
背景や劇で使う小道具を作るのを頑張ったので見に来て欲しかったけれど、この様子では来てくれないかもしれない。
楓も忙しいだろうから残念だが仕方ない。
吉川くんが王子役ということもあり、そこそこのお客さんが見に来てくれて私たちの劇は成功し幕を閉じた。
お客さんのほとんどは女子だったと思う。
終わったあと、クラスメイトからありがとう、お疲れ様と声をかけられてなんだか変な気分だった。
坂井さんたちからは何も言われなかったし、目も合わせてくれなかったけど、私は満足していた。
こんなに本気で集団行動を伴う物事に取り組んだのは初めてだった。