眠り姫の憂鬱。


楓と共に廊下を歩く。

すれ違う人はコスプレしてたり、かわいいヘアアレンジをしていたり、みんな浮かれて文化祭というものを楽しんでいる。


「ていうかお前、来たなら声かけろよ」

「だって!忙しそうだったんだもん」


楓のクラスに行きたいって我儘言ったのにこれ以上迷惑かけられないよ。


「そんなことよりどこに行く?」

「どこでもいい」


そう答えた楓は私の顔を見てピタリと固まった。

私は歩みを止めて首を傾げる。


「どうしたの?」

「雅、保健室に行こう」


私の手首を掴み引っ張ろうとする。


「え、なんで?楓どっか痛いの?」


急に保健室なんて、どうしたって言うのか。

私は楓といられればどこに行ったっていいけど、折角の文化祭なのに保健室とはいつもと変わり映えしないチョイスだ。


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