眠り姫の憂鬱。


すると、楓は私に向き直りこう言った。


「お前、気分悪くない?」

「へ?」


そういえばさっきから頭が痛いような気がしないでもなかったけど、気にするようなレベルの痛さではなかった。

この程度の頭痛はよくあるから、もう慣れてしまった部分もあるかもしれない。

それよりも楓が心配するほど体調悪そうな顔をしていたということが問題だ。


「大丈夫だよ」

「嘘つけ」

「そんなに顔色悪かった?」

「なんとなくわかるんだよ」


私の今ままでいろんな人を騙してきたことをなんとなくでわかっちゃうものなの?

楓がすごいのか私の気が緩んでいたからなのか。


どちらとも言えるがバレちゃったらおしまいだ。


「そこまで悪くないけど、楓が言うなら行こうかな、保健室」


そう言った私はどんな表情だったんだろう。

楓の顔は酷く、悲しんでいるように見えた。


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