眠り姫の憂鬱。


そんな私の腕が突然後ろから誰かに引っ張られ、よろめいた。

そして、支えられる。


「雅、」


声の主はすぐ分かった。


「楓?」


振り返りながらそう言うと、案の定そこにいたのは楓だった。

でも何故か少し不機嫌?


「どしたの?」


そう尋ねてみても答えてくれない。

名前呼んでくれたくせに。

楓は駆琉を一瞥した、私の目を見てこんなことを言い出した。


「今日、俺ん家来る?」

「へ?」


一体全体どうしたっていうの??どういう風の吹き回しなんだ??


「どうすんの?」

「い、行く!」


楓の気が変わってしまう前にと慌てて返事をした。

楓の方から家に誘ってくるなんてこれを逃したらもうない気がした。


「七海が会いたがってる」

「七海ちゃんが?!」


正直嫌われてると思っていたし、これから頑張って打ち解けていければいいなって思っていたから驚きだ。

ともかく、会いたいと思ってくれていることがめちゃくちゃ嬉しい。


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